6/17のページ 公用分例略記研究会
 『触の二』2校  77ページから88ページ
 今回は、『触の二』2次校正の第7回分です。

  <ご指摘により修正する事項>
(1)77ページ、後ろから2行目… 「…限之問屋…」の「之」を削除。
*原文書に記載はありません。解読の誤りです。
(2)78ページ、7行目… 「…江泰歎願候…」の「泰」を「奉」に修正。
*解読の誤りです。
(3)78ページ、後ろから3行目… 「…此廻章最早々…」の「最」を削除。
*原文書に記載はありません。解読の誤りです。
(4)79ページ、後ろから1行目…「…領々之惣代」の「之」を削除。
*原文書に記載はありません。解読の誤りです。
(5)79ページ、後ろから1行目…「右趣」の「右」と「趣」の間に「之」を挿入。
*くずしの形からだと判断が難しいです。(下図参照)『触の二』で「右趣」という使い方はありません。「右之趣」という使い方は15箇所あります。したがって、「右之趣」という使い方が一般的と判断します。

(6)80ページ、2行目…「…外之ゟ」の「之」を「々」に修正。
*くずしの形からは判断が難しいですが、意味上「外之ゟ(ほかのより)」では不自然です。「外々ゟ(ほかほかより)」なら意味が通ります。「外々(ほかほか)」は、複数の外の場所を意味しています。
(7)83ページ、後ろから6行目…「…榧粟椎之…」の「粟」を「栗」に修正。
*解読の誤りです。
(8)83ページ、後ろから1行目…「…縁提等…」の「提」を「堤」に修正。
*解読の誤りです。
(9)85ページ、後ろから5行目…「弘化二巳年…」の行を、一文字分下げる。
*可能な限り、原文書の位置に揃えます。
(10)86ページ、2行目…「…丙午丁末之…」の「末」を「未」に修正。
*解読の誤りです。
(11)86ページ、後ろから3行目…「…候旦右…」の「旦」を「且」に修正。
*解読の誤りです。
(12)87ページ、1行目…「数も申可聞…」の「申」と「可」の位置を入れ替え、「可申」に修正。
*解読の誤りです。
(13)87ページ、後ろから4行目「大袋村」の「袋」を「岱」に修正。
*解読の誤りです。

 

<修正が不必要と判断した事項>
(1)77ページ、後ろから2行目… 「…其御領々…」の「々」を「二」に修正。
*他の場所でも同様の文字が見られます。くずしの形からは「々」なのか「ニ」なのか迷います。この文書は最後に記載があるように「願領々惣代(がんりょうりょうそうだい)」が5ヵ村の名主宛に出した文書です。【領】とは「広域的な村落集合体としての地域的呼称」です。「村々」の言葉と同じように、「領々」は「領が複数集まった呼称」です。文意上も「領々」と解読した方が適切と考えます。
【領】関東などにみられた広域的な村落集合体としての地域的呼称。中間支配機構としての機能をもった。(『古文書用語辞典』新人物往来社
(2)77ページ、後ろから4行目…「尚々」の「々」を削除。
*下に延ばした部分は「々」と解読します。(下図参照)

(3)83ページ、6行目…「出精之廉」の「廉」を「広」に修正。
*くずしの形と意味上からも「廉」と解読するのが適切と考えます。「広」と解読すると意味が通じません。
【廉】(かど)理由。事情。箇条。点。(『古文書用語辞典』新人物往来社

<質問>
(1)82ページに記載されている「薏苡仁(よくいにん)薯蕷(なかいも)何首烏(かしう)草薢(ところ)栝楼(からすうり)菎蒻(こんにゃく)葛(くず)蕨(わらび)」という植物について教えて下さい。
*私も植物は苦手ですが、調べた結果は、次のようになります。具体的に分かりにくいと思いますが、お許し下さい。
【薏苡仁】(よくいにん)〘名〙 鳩麦(はとむぎ)の種子。ひきわって粥(かゆ)・スープ・菓子などをつくる。また、漢方薬として、利尿・緩下(かんげ)・鎮痛などに用いる。

【薯蕷】(ながいも) (「しょよ」「じょよ」「とろろ」とも) 植物「ながいも(長芋)」。「とろろいも(薯蕷芋)」の略。「とろろじる(薯蕷汁)」の略。

【何首烏】(かしう)
【何首烏芋】(かしゅういも)ヤマノイモ科(APG分類:ヤマノイモ科)の多年生つる草。ニガカシュウの栽培品種。中国原産で、熱帯アジアに栽培される。日本には雌株だけが伝来して栽培されているが、雄株がないので開花しても結実しない。地下にいもができ、表面は暗褐色で内部は黄白色、多くのひげ根がある。葉腋(ようえき)に径約2センチメートルの大形のむかごをつける。いももむかごも細かく切り、ゆでたり煮たり蒸し焼きにしたりして食べ、クリのような味になる。

【草薢】(ところ)ヤマイモ科の多年生つる植物。山野に自生し、春、古根から細いつるを出し、他のものに巻きつけながら長く伸びる

【栝楼】(からすうり)【括楼】(かろう)〘名〙 植物「きからすうり(黄烏瓜)」の古名。
【黄烏瓜】(きからすうり)〘名〙 ウリ科のつる性多年草。北海道奥尻島から沖縄まで、日本列島各地の山野に生える日本特産種(中国産のものの変種)。根は肥厚し紡錘形の塊となる。茎は三~四岐した巻きひげで他物にからむ。葉は柄があって互生し、葉身は広心臓形で三~七浅裂する。雌雄異株。八~九月、白色の花を開く。萼(がく)筒は長さ約三センチメートル。花冠の縁は細裂し糸状となるがカラスウリより短い。果実は長さ約一〇センチメートルの楕円体で黄熟する。中国大陸にはこれと変種の関係にある栝楼があり、この根の皮層をはいで乾燥したものを漢方で栝楼根(かろこん)といい、解熱・袪痰(きょたん)・鎮咳剤にする。日本産のものも瓜呂根(かろこん)として同様に利用される。また塊根の澱粉から天瓜粉(てんかふん)をつくる。うかい。うしのしい。栝楼。

【蒟蒻・菎蒻】(こんにゃく)サトイモ科の多年草インドシナの原産で、日本では群馬県を中心に福島県茨城県などの山間の傾斜地に栽培される。茎は高さ一メートル以上になる。地下に径二〇センチメートルぐらいの扁球形の球茎をつくる。葉柄は直立、淡緑紫色の斑点を密布。葉はやや不規則な羽状に裂け中軸には翼がある。夏、広卵形で緑色の仏炎苞(ぶつえんほう)に包まれた長さ約四〇センチメートルの円柱状の肉穂をつける。球茎から②や工業用ののり、防水塗料などをつくる。冬に芋を掘りだして②をつくることが多いため、「こんにゃく掘る」「こんにゃく干す」など冬の季語として用いられることもある。漢名、蒟蒻。こんにゃくいも。こにゃく。

【葛】(くず)マメ科のつる性多年草。各地の山野にふつうに生える。茎は長さ一〇メートル以上になる。全体に白または褐色の荒い毛がある。葉は長い柄を持ち互生し、三個の小葉に分かれる。小葉は長さ一〇~二〇センチメートルの広卵形で先端はとがり、側小葉ではしばしば二~三浅裂する。夏、葉腋(ようえき)から長さ二〇センチメートルぐらいになる花序を出し、紫色の蝶形花を総状につける。莢(さや)は長さ五~一〇センチメートルで褐色の荒い毛におおわれる。肥大した根から葛粉をつくるほか、干したものを葛根(かっこん)といい、漢方では解熱剤に用いる。蔓で行李(こうり)などを編み、また、繊維にして葛布を織るのに用いる。秋の七草の一つ。くずの葉裏は白みがかっていて葉が風にひるがえると目立つところから「裏見」と称し、和歌などで「恨み」にかけ、また「葛」と「恨み」とを縁語とする。漢名、葛。くずかずら。まくず。裏見草。

【蕨】(わらび)① シダ類ウラボシ科の落葉多年草。各地の山野の向陽地に生える。早春、先端が拳状に巻いた新葉を出す。成葉は二~四回羽状複葉で長柄をもつ。葉身は卵状三角形で長さ八〇センチメートルに達し、小葉はさらに羽裂する。胞子嚢(ほうしのう)群は裏側にまいた葉の縁につく。若葉は早蕨(さわらび)と呼び食用。根から蕨粉をとって餠や糊の原料とする。漢名、蕨。